花。

花には不思議なほど興味がありませんでした。みんなが「花屋さんになりたい」とかわいいことを言っている時期にすら。
そんなわたしが花に興味を持ちはじめたのはいつ頃からだったかな。興味を持つと言っても花屋さんの前で立ち止まることがあるようになったくらい。特に花の名前を知っているわけでもない。覚えようとするわけでもない。でも好きな色の花。不思議な色の花を見ると自然と足が止まったりするようになりました。いつかお金ができたら買ってみたいな‥などと思いつつ。

はじめて人に花を贈ったのはたぶん大学3年生のとき。1か月間お世話になったヨークシャーのホストマザーに、お別れの前の日、両手一杯のピンクのバラを買って贈りました。花を抱えて家に戻るまで、たくさんの人に振り返られて、ハズかしくもうきうきしたのを覚えています。華やかなものが好きなホストマザーの喜ぶ顔も楽しみで。

2度目に贈ったのは、社会人として初めてのお給料をもらったとき。そのお金を使って家族(正確には母と祖母)に贈りました。このときは「初給料の花束を」とお願いしてちょっとお店の人を困らせてしまったのを覚えています。

ブーケをつくってもらうときには、どうしても使ってほしい花を「コレとコレ」と指差します。それから予算を告げるだけ。千円だっていいのです。あとは花屋さんのプロの手がそれらをどのように仕上げてくれるのか、他のどんな草花(ときには枝や実)と組み合わせてくれるのか、できあがりを楽しみに待つばかり。

近頃、なぜか人に花を贈りたい気分です。草花が美しい季節だからかな。贈る相手の笑顔が見たいからかもしれない。自分のために買うにはちょっと贅沢だから。

花を贈られたときの笑顔って、贈る側が予想していたよりも遥かにうれしそうなことが多いのです。花を贈ったことがない方、贈る相手の顔でも頭の中で探しながら、機会があったらほんのわずかの時間だけ、花屋さんの前で足をとめてみてください。

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