冬の雨はイギリスの匂い。

日本ではカラッとしてなかなかに清々しい冬だけれど、イギリスの冬は暗く重く気が滅入る。ヒースローからケンブリッジへ向かうコーチ(長距離バス)の中、どんより低く垂れ込めた灰色の雲間からひとすじ射した薄く頼りない光を「2週間ぶりに陽が出たのよ」なんて言われちゃった日には、、

ただでさえ寒い冬の日にしとしと朝から雨が降り、みんな情けない顔で会社や学校へ向かう。中央ヨーロッパ全体を映す天気予報ではいつでもイギリスだけが雲の下。いかにもぶ厚い雨雲は、眉のすぐ上まで降りてきているかのようで、ああ、目の上のたんこぶっていうのはこのことかと実感する。

冬の雨はイギリスの匂い。

そんな憎らしい冬ですら、遠く離れると懐かしく感じてしまうのだから人間なんてほんと、勝手なもの。

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