指輪物語

テンポのゆっくりさに古き良き時代を感じる指輪物語。今読んでもそれほど目新しいところはないのですが、それこそハイファンタジーの祖と言われる由縁。現在わたしたちの親しむファンタジーのほとんどが指輪物語からはじまったとも言えるのですから、まぁそれも当たり前なのでしょう。

指輪物語のすごいところは、わたしたちの住むこの世界とは別の世界を新たに創り上げてしまったところにあります。歴史、種族から言語まで。鏡の中や床の下やワードローブの中など日常生活の中に別世界が潜んでいたそれまでのファンタジーと、ここが大きく違うところです。ファンタジーRPGをやる人などにはすっかりおなじみのホビットという種族ももとはと言えばトールキンの創造ですし、エルフが長身金髪という形に落ち着いたのもトールキンからだったと思います。もともと言語学者だったトールキンは、実際のストーリーの中にはほとんど顔を出さないエルフ語やドワーフ語までその言語構造から考えていたというのですから舌を巻きます。単純と言えば単純なストーリーですがそれが決して薄っぺらでないのは、この見えない背景あってのものなのだなぁと思います。

エルフ語が見たいならトールキンの絵本「サンタクロースからの手紙」。世界を創造した別の物語が読みたいならル・グインの「オールウェイズ・カミング・ホーム」がおすすめです。これはすごい!

++ 新版 指輪物語(全7巻) J.R.R.トールキン 評論社 1992
++ サンタ・クロースからの手紙 J.R.R.トールキン 評論社 1976
++ オールウェイズ・カミングホーム(上下) ル・グィン 平凡社 1997

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